VC: An American History VCの歴史についてまとめた本(2019年ハーバード大学出版) 19世紀の米国の捕鯨漁にVCのルーツを見て、 ARD 、 Greyrock , Venrock , Arthur Rock , Tom Perkins , Don Valentine から2000年のドットコムバブル直後 までのVCの歴史が纏まっています。 ブームになったクリーンテックへのテーマ投資 はVC業界として失敗した取り組みでした。 ・Venture capital investments in “cleantech” in recent years appear to be a classic case of strategy-structure misalignment. 「VCファームのリターンにとって、GPの人的資本が組織的資本の2〜5倍大事であり、パートナーのタレントへの依存度が高いことからも、1959年のLimited Partnership の活用からVC業界は驚くほど組織的な進化をしていない。」という以下コメントがありますが、今のVCファンドが内包しているファンド期限の制約などは、いずれチャレンジしたい課題と思っています。 ・As the VC industry faces the future, an important question is whether firms’ organizational structures will ever add as much value as their “partner capital.” Michael Ewens and Mathew Rhodes-Kropf find that the human capital of the general partners in a venture capital firm is between two and five times more important than its organizational capital to explaining its returns. ・The fact that partners’ talent matters most is an important finding, and it...
明日からの2022年でVC歴25年になります。初心に戻り、尊敬するVCの言葉をまとめました。 (1)VCは事業を創出する事業 セコイア・キャピタルの創始者の ドン・バレンタイン 氏は、VCの仕事は「事業を創出する事業で、時には新しい産業をも創出する。VCは金融取引ビジネスではなかった。VCは新しい会社を作っていく。たまには新い産業も作っていく。」と言っています。新い会社を構築し、新い事業を創出し、新しい産業をも構築していくのがVCの使命です。 “ we were in the business of creating businesse s, and sometimes creating industries; we were not in the financial transactions business. We were going to build companies. We were going to build an industry once in a while” - Don Valentine, Sequoia. Capital Gupta, U. (2000), Done Deals : Venture Capitalists Tell Their Stories, edited by Gupta, U., book, Harvard Business School Press, Boston. バレンタイン氏は2019年に亡くなられました。今はアカウントがなくなっていますがセコイアの投資先でもあったLinkedInで繋がっていたのは多分日本人で唯一だったかと思います。 (2)チームの構築と成長を支援 クライナー・パーキンスの ジョン・ドーア 氏は「 偉大な起業家とCEOは良いチームを構築できる。良いVCは良いチームの構築と成長を支援しなければいけない。」と言っています。会社も事業も人が集まって成す事なので、詰まるところ如何に良いチームを創れるかにかかっています。良いコーチとして、如何に人の心を動し人とチームを育てて行けるかがVCのアートです。 "Great entrepreneurs and great CEOs are team builders. And good venture capitalists must help b...
イスラエルのスタートアップはミリタリー技術の研究を基にしたものが中心で、イスラエルを開発拠点にしながら、シリコンバレー等の米国拠点で人材と資金を調達して世界市場を開拓する、技術スタートアップの「イスラエル・モデル」でこれまで成功してきました。 一方で、これまでイスラエルの大学からのスタートアップはあまり注目されて来なかった印象があります。大分前ににイスラエルの Technion ( イスラエル工科大学 )から大学によるVC設立の相談を受けた事があり、そのような話を聞いた記憶があります。その時は確か自分の大学だけのCaptiveのVCにすると上手くいかない、フィナンシャルなディシプリンが大事という話をしました。 その後、イスラエル国内トップの テルアビブ大学 がイスラエルの大学としては初の大学系VC「 TAU Ventures 」を2018年に設立、1号ファンド$20Mから18社に投資をされて、 今回$50Mの2号ファンドの設立を発表 しています。 Israel’s First University Venture Capital Fund Proves the Model Works TAU Venturesは現状イスラエルで唯一の大学系VCとの事ですが、他のイスラエルの大学も関心を持っているようです。 TAU ventures is still the only fund in Israel to be affiliated with a university, but he says most of the other Israeli universities have expressed interest in the model, and have been in contact with him. 但し、大学というビューロクラティックな組織でVCを作るのは大変で、大学はスタートアップのスピードに対応できず、独立した組織を作るのが一つのチャレンジだったと語っています。 There are several challenges, Cohen says, to establishing funds like this in Israeli higher education institutions. “Universities are fairly bureau...