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大学に挑むVC

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「 Paper Belt on Fire 」はオックスフォード大学の哲学の博士家庭を中退し、学校の先生をしていた著者はピーター・ティール財団でティール・スカラーシップを立ち上げて、将来性のある若者に大学に行く無駄をやめさせて世界を変えるチャレンジを促す仕事に従事する。その後、大学に行かないドロップアウトした有望人材に専門的に投資する 1517ファンド を立ち上げる。 1517年はルターが宗教改革を始めた年。著者の考えでは、大学が過去の教会と同様に権威化しており改革が必要な対象と考える。大学は学位という紙を発行することで権威付けをしつつ研究を独占している。その結果、学問のフロンティアで研究に携われるのは、学部4年と博士までの7-8年という修行をした後にしか許されない。 この様な形骸化した大学をルターのように改革し、若い時からすぐに学問のフロンティアにある問題と人類社会の難問に取り組めるように、大学に行かず能力のある人材をVCとして支援していく。 題名にあるRust Beltならぬ「Paper Belt」とは、ハードバードなどの学位という紙を発行して権威を維持している大学らをさす。 1700年ソルボンヌで数学者のヒルベルトが23の未解決問題を提示しその解決を同僚たちに呼びかけた。その結果8つは解決、9つは一部解決、4つは未解決、2つは問題自体が曖昧すぎて解決不能との結果。ゲーテルの不完全性定理の解決はその後のノイマンとチューリングによるコンピューターの発展に繋がった。 イギリスのロイヤル・ソサエティーは、17世紀にオックスフォード大学のボイルを中心に集まった自然哲学研究者の秘密組織「見えないカレッジ」(Invisible College)に起源があり、151ファンドも既存の大学の研究に対する独占を打破して、若い人が自由に学問のフロンティアにある問題にすぐに挑めるようにしたいとしつつ、著者は以下の人類課題を提示している。 エネルギー・クリエーション 核融合 原子力 風力・太陽光 地熱 水力・潮力 トランスポーテーション 超音速旅客機 空飛ぶ車 自動運転と安全 交通渋滞解消 ヘルス 癌治療 免疫治療 感染症 肥満・糖尿 長寿、アンチ・エイジング) 教育 どのようにキュリオシティを持たせて学ぶモチベーションを持たせるか 効率的に学べるようにする 学んだことを定着させる 学んだ...

イノベーションを創出する大学モデルへの進化

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中世に学生と教員のギルドとして生まれた大学という組織は、19世紀のドイツで確立された近代国家の研究を担うフンボルト型大学のモデルを経て、20世紀のアメリカでイノベーションを創出する大学という新たなモデルに進化した。 米国の高等教育の歴史をまとめた「 A History of American Higher Education 」を読むと、米国で起きた新しい大学のモデルへの進化の背景が良く理解できる。 アメリカの大学の起源は1636年のハーバード・カレッジの設立にあるが、合衆国独立前に設立された大学郡はコロニアル・カレッジと呼ばれ、それらは当初イギリスのオックスブリッジ型の大学を意識していたが、そこから脱却していく過程が描かれている。 アメリカの大学の最大の特徴は、それらが私立大学であるということにあった。それらの大学のガバナンスは、オックスブリッジのようなファカルティによるものではなく、ボード(Board of Trustees又はVisitors:理事会・評議会)とそれが選んだプレジデント(学長)により大学の経営がされることにあった。プレジデントの報告先はあくまでもボードでありファカルティではなかった。外部のボードがある点はスコットランドの大学のモデルに近い。 産業界で成功した者が寄付者となり、 インダストリーの人間がカレッジのボードに入る体制があったために、なぜカレッジはビジネスのように経営できないのか、という議論が自然に起こっていった。 高等教育のコーポレーション・モデルはスタンフォード大学で確立された。シリコンバレーの父と呼ばれるターマン教授は、同大学で企業等からの外部資金獲得を推し進め、また学生であったヒューレットやパッカードに起業を進めた。その結果がシリコンバレーの形成に繋がり、スタンフォード大学が事業をする大学のモデル(Model of Enterprising University)を確立したのである。 アメリカの大学の財務は授業料と寄付金を中心に賄われていたが、1985年からのイエール大学基金の運用拡大をモデルに基金の運用収益もイノベーション創出モデルを大きく後押しすることになった。 「なぜ大学はビジネスのように運営できないのか」というのが、アメリカの大学での20世紀を通じたテーマであった。アメリカの大学では大小を問わず殆どの大学のボードにビジネス...

邪悪について、平気で嘘をつくということが悪の根源であり発現である

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Liveを反対から書くとevilとなる。 一人のナルシシズムから街と生活が破壊され、普通の人々が虐殺され命を奪われている今の現実にどう向き合えばいいか。人間の悪について考えざるを得ない。 『 平気でうそをつく人たち:虚偽と邪悪の心理学 』を読むに 邪悪性とは、ナルシストが自分中心に創作するストーリーの為に平気で嘘をつき、平気で他人を犠牲にすること であろう。 まさにその通りで、よくもそこまで嘘で塗り固めた主張を平気でできるものだと関心するとともに、考えることに怠惰な集団の恐ろしさを感じる。自分のストーリーに整合しないことは事実でもフェイクと呼び、平気で嘘をつくことは邪悪性そのものということだ。 邪悪な人の特徴は、他人に罪を押し付けること、自分の悪を世の中に投影すること。他人をスケープゴートにすることだと言う、まさにその通りだ。 この本では、人間の邪悪性は病気なのか?精神病理学的病気なのか?そしてそれは治療可能なのかを問おうとしている。 邪悪性とは自己愛的精神分裂の一形態で新しいタイプの人格障害で以下の特徴を有すると言う。 自己の責任の放棄 定常的な破壊的責任転嫁的行動、多くの場合きわめて隠微な形をとる 批判その他の形で加えられる自己愛の損傷に対して過剰な拒否反応を示す 立派な体面や自己像に強い関心を抱く、これはライフスタイルの安定に貢献している一方で憎しみの感情・執念深い往復的動機を隠す見せかけにも貢献している 知的な偏屈性、ストレスを受けた時の軽度な統合失調症的思考の混乱を伴う 本書にある精神療法のケースから、オクスフォード大学の学部時代に心理ソサエティでう来た精神科医が特別に患者の治療時のテープを聞かせてくれたことを思い出す。トラウマのある患者を催眠状態で子供の頃に戻らせて話を聞いた所、親にお仕置きとして真っ暗な物置に閉じ込められた時のことを話し出して、その中で親に自分が大好きだった人形を食べるようにいわれたと、泣きじゃくっていた音声を思い返した。 個人の邪悪性が病気なのか、治療できるのか、悪と向き合う危険性等についても考えさせられる。ただ少なくとも法を犯した場合には、それを裁く社会的システムを個人については人類は構築してきた。 個人の悪が集団の悪になるメカニズムと、それを防ぐ有効な社会的システムをまだ人類は形成できていない。 本書では1968年の米軍によるベト...

イノベーションの不確定性原理 Uncertainty Principle of Innovation 不確定な世界を生き延びるための進化論

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イノベーションという人類の進化のプロセスに携わるVCとしての思想をまとめた新刊『 イノベーションの不確定性原理 Uncertainty Principle of Innovation 不確定な世界を生き延びるための進化論 』が5月6日に発売されることになりました。 <以下、 Amazon の紹介ページより転載> イノベーションは一人の天才による発明ではない そもそもイノベーションとは何を指しているのか、 いつどこで起き、どのようなプロセスをたどるのか、誕生の仕組みをひもといていく。 移動・輸送の革命や電気・通信インフラの進化、インターネットやスマートフォンの普及と、 人々の生活は数々の変化をし続けてきました。 人類は危機に直面するたび、科学や技術を駆使して生き延びようとしてきたのです。 ビジネスの世界においてイノベーションは未来を切り拓くものであると考えられ、 政府や多くの企業が変革を起こそうと取り組んでいます。 しかし、イノベーションとは何なんなのか、実態はいまだ分かっていません。 一人の天才的な人物の発明によって起きるとも考えられていますが、 実際には単なる発明ではなく、それを社会に浸透させ還元していく 長いプロセスを指すのです。 その仕組みが分かれば、次はどこからどんな新しい科学技術が誕生するのかを 想像することができ、社会に大きな変革を起こすための真の近道になるはずです。 本書では物理学とビジネス双方の知見をもつ2人の著者がこれまで重ねた議論を まとめています。 イノベーションを創出し、不確定な時代を生き延びるためのヒントを与えてくれる一冊です。 【目次】 はじめに 第1章 イノベーションとは何か ――単なるアイデアやひらめきではなく、社会に実装され構造化されてはじめてイノベーションになる イノベーションという進化のプロセスが始まった 単なる発明ではなく社会そのものが変わっていく イノベーションとはどういう歩みなのか ライト兄弟が飛ばなくても誰かが飛んだ 100年以上かけて実用化されたLED照明 人間バージョンの自然淘汰 進化して生き延びるか、絶滅するか 多くの参加者と参加できる環境が必要 第2章 何がイノベーションを可能にするのか ――不確定な世界で必要なのは無数のトライアンドエラーである 生き延びたものが勝者になる 世界は不確実ではない。不確定だ 量子力...

人間の死にざま

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 「 生き物の死にざま 」に「死」という生命の発明について考えさせられる。 カゲロウが3億年生き残り続けたのは、儚い命の為。生物は次の世代の為に生きる。個体の「死」は種としての存続のための新陳代謝のメカニズムなのだ。 不老不死のクラゲとして知られる ベニクラゲ には、5億年間生き続けているものもいるのでは。 そもそも、単細胞生物には「死」がない。ひたすら自分のコピーを繰り返す単細胞生物には生物学的な定義での「死」はないとされている。 38億年の生物の歴史中、単細胞生物しかいなかった28億年間は生物に「死」はなかった。 「死」は10億年ほど前に多細胞になった生物が自ら作り出した偉大な発明なのである。 「死」のない単細胞生物はコピーミスによる劣化が起こり、また環境変化に適合っできないと種として絶滅するリスクがある。 新しいものを作りだす仕組みが「死」なのである。生命は「死」という再生の仕組みを作り出した。 多細胞生物でも アブラムシは同じ遺伝子を持ったクローンを作る。環境が合わないと絶滅する。 哺乳類で珍しく真社会性生物の ハダカデバネズミ は老化しない。不老長寿。年齢に関わらず病気や外部用要因による死亡率sが一定。おいくることはなくても死は常に隣り合わせ。 テロメア を進化させて、老いて死ぬ事は生物が望んで作った仕組み。 人間の倫理学を説いたカントが動物は人間の為に存在すると言ったらしく、動物は倫理学の対象外だったのかと思う。 1990年のオックスフォード大学のオープン・デーで生物学の講義をしていた リチャード・ドーキンス 先生が、講義の終わりに学生から「人はなぜ生きているのか」と問われて「遺伝子を伝える為」と答え切ったのを覚えている。ドーキンス先生的にはキャリアである人間は死んでも遺伝子は存続するのだが、意識を持った人間は自分が死んでも他人の記憶の中でも生き続けるのだろうと思う。すると、人間の死にざまは、それぞれがどのような物語を残せるのかにかかっているのではないか。 cf.  若返りの方法がここから見つかる!不老不死の生物・べニクラゲがもつ驚異の力 不老不死の鍵を握る哺乳類「ハダカデバネズミ」。老化を見せず生殖も(今のところ)永遠に続ける 知っておきたいテロメアとエイジングの関係

失敗のすすめ

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ベンチャーキャピタルの秘伝の一つは、我々があらゆる失敗の経験を蓄積していることにあります。何かに取り組む際におおよそどのようなトラブルが起こるか予測がつき、それらのリスクをマネージしていくことでダウンサイド・シナリオを避けて行きます。成功には再現性はありませんが、失敗には再現性があります。その観点でも失敗は財産なのです。 致命的でクリティカルな悪い失敗を何とか回避しつつ、良い失敗を積みかさねて活かしていく事が大事です。自分は避けたいですが、他人や他社、他国の致命的な失敗も学ぶことで財産となります。 自分の関与先でも上手くいかない事は当然多々あります。全ての投資先において常に失敗とトラブルの連続です。上手くいくかどうかの違いは、諦めずに続けられたかどうか、失敗から学び失敗を活かしながら変わり続けられたかどうか、致命的でクリティカルな失敗で詰まなかったかどうか、だけかと思います。また、失敗をして危機的な状況下では逃げたり責任を押し付けたり(忍法掌返し、と言われる術)をする人々が出てきますが、誰が逃げず最後まで一緒に戦える真の仲間と同志だったか判別する局面でもあります。そのような戦友がまた自分の財産となるのです。 日本の失敗を恥じて隠す文化が、悪い致命的な失敗を招きます。これが日本のイノベーションの阻害要因となっています。日本の減点主義の教育の問題と、失敗した際に組織の面子と体裁を保つことだけに終始して、最後は辞任するだけで解決として全てを無かったこととして問題に蓋をする近年の日本の風習が原因かと思います。 成功は失敗と一体として生じるもので、失敗なくして成功も生ません。 以前必敗の経験を共有しようと試みた事がありましたが、中々難しく、「 失敗学のすすめ 」の以下が参考になるかと思いました。 ・失敗情報は主観で伝達。客観的な失敗情報は役に立たない ・失敗した人がどんな事を考え、どんな気持ちでいたかを第一人称で伝達する ・失敗の知識化のフォーマット   「・・・で死にそうになった事」など分かり易い タイトル     事象     経過     原因 (発生時にどう感じたか推定原因)     対処 (失敗前から失敗後)     総括     知識化 ...

ウィルスの不思議

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地球上のウィルス全体の方が人類全体より重い ウィルスに関心を持たざるをえない。 医学者が対象とする人間が感染し病気となるウィルスは生物全体の保有するウィルスのごく一部。 「 京大おどろきのウイルス学講義 」は 獣医学者による人間以外の保有するウィルスを含めた解説。ウィルスについてまだ殆ど未知な事が良く分かる。また、生物はウィルスと共進化してきた切っても切れない関係。一心同体の関係で未来永劫共存していく相手。というよりも、そもそも生命の誕生に関わっており、また生命の進化も担ってきたウィルスは、極めて不思議な増殖マシーンで興味が尽きない。 ウィルスは遺伝情報を包んだ粒子。神が創った増殖レゴマシーンとしか思えない。 ウィルスは自分自身ではエネルギーを作れず。 ウィルスは自分自身では増殖できず、生物の宿主の生きた細胞に入って増殖する。 細胞は2つにしか分裂できないが、ウィルスは一気に多数に増殖できる。 ウィルスは30nm-400nmの大きさ。 地球上に膨大なウィルスが存在。海水中の深海では1mlに100万個、沿岸の海水では1億個のウィルスが存在。 どんな働きをしているのかまったくわからないウィルスばかり。 物質量カーボン炭素量で見積もると、人類全体より地球上のウィルス全体の方が重いとと推測されている、という衝撃。 生物のDNA中にウィルスの遺伝情報。レトロウィルスは生物の進化に大きな役割。生物とウィルスは共進化。 ちなみに、この共進化が物質から生命への進化を可能にしたカギのようだ。 東京大学の研究成果「 物質から生命への進化を可能にしたカギは寄生体との共進化か 」 これまでウイルスなどの寄生体と宿主生物との共進化は、生物進化における重要な駆動力のひとつだと考えられてきましたが、本研究成果は、その起源が生命誕生前までさかのぼる可能性を示しています。寄生体との共進化が、物質から生命への進化を可能にしたカギだったのではないかと発表者らは考えています

「最初のベンチャーキャピタリスト」に学ぶ、VCの使命と原点

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  「The First Venture Capitalist: Georges Doriot on Leadership, Capital, & Business Organization」 1946年に最初のVC投資会社 アメリカン・リサーチ&デベロップメント   (ARD)社を設立した「最初のベンチャーキャピタリスト」 ジョージ・ドリオ (Georges Doriot  1899 – 1987) 氏についての本。ドリオ氏はハーバード・ビジネス・スクールの教授でINSEADの設立にも関わった。大分前にARCHのオフィスに行った際に沢山置いてあったのを1冊頂いた思い出のある本。 ARDは米国で最初に創業期の技術系ベンチャーに組織的に投資する事業を始めたVCの原点。当初はMIT発のベンチャーへの投資が中心で、その中から創業期から投資をしたDEC社が大成功した。 ARD社は自身が上場していたVC投資会社で、今のファンド形式のVCが確立される前であったこともあり、キャピタリストへのインセンティブ設計がまだなくリテンションには苦労したようだが、ドリオ氏とARD社のメンバーは大学に埋もれた研究から新しい経済を創り出すベンチャーキャピタルという仕事を強い使命感を持って始めた事が分かる。これがVCの原点。 ベンチャーキャピタルという使命 ドリオ氏にとって、ベンチャーキャピタルは宣教師のような使命感に基づいた活動であった。そして、その使命に賛同する仲間を彼は広く探していた。 "For Doriot, venture capital was a missionary activity. And he searched far and wide for those who believed in the mission." ドリオ氏のベンチャー・キャピタルに対するアプローチは、あまりにも宣教師的な使命感にに突き動かされたものであったという指摘がある。 "There are those who argue that Doriot was much too missionary in his approach to venture capital." 大学の研究から新しい経済を創出 大学や研究機関に眠る膨大な知識と研究から、新しい経済を創造...

大隈重信

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今年は 大隈重信 没後100年。薩長出身ではない非主流の立場で明治維新の日本の財政と外交に携わり、2回首相を務めた政治家。民間活力による産業振興を行う小さな政府論者であって、東西文明の調和の理想を持っていた。1881年43歳の時の政変で在野となり、44歳の1882年に東京専門学校を設立、その後政府に復活し、外務大臣だった1889年51歳の時に爆弾テロで右脚を失い、76歳から78歳まで二度目の総理を努め、1922年1月10日に83歳で亡くなった。「自分の人生には功績よりも失敗の方が多い」と述べる大隈は、鋭い直感力を持っており、やるなら命がけで本気でやれ、というのが幕末以来の信念だったと。 特にイギリス風の政党政治の導入を目標としていたことが印象深く、早稲田大学は、つまり日本のオックスフォード大学となるべく設立された、と理解しました。 明治維新の時に掲げられた日本という国の理想には全く道半ばで、逆に政治的、倫理的、科学力的、教養的にも日本社会は衰退しているのではないかとさえ思ってしまいます。100年前と言えばまだついこの間でもあり、改めて世界で輝く日本への理想を持って取り組みたいと思う。 イギリス風の政党政治を目標に 「イギリス風の政党政治を作り「 輿論」を政治に反映させ、東アジアに安定した秩序を作り、清国や列強と貿易を拡大して日本を通商国家として発展させることができるのは、伊藤ではなく自分である、と。」いう強い自負心が大隈にはあった。 ここで「大隈は、国民のよく考えぬかれた理性的な意見である「輿論」と、むしろ気分や感情に影響された意見である「 世論」を区別している。」 「大隈は輿論にもとづいた政治を理想とし、中産階級以上の自立した個人がリードしているイギリス風の政党政治をめざした。しかし、世論の力も知っており、世論に流されないように、さらに世論をできる限り味方に付けようと試みながら、理想の政治をめざした。」 経済発展も大隈は「イギリスの商業は自由貿易を主義として「大陸」を相手として世界のいたるところで「競争」してきたので発達してきた、とイギリスを理想のモデルとしてとらえる」。また「列強に対抗するためにも、さらなる教育の充実を主張した。読み書きや、国民の「心性を開拓」して知識を啓発する普通教育だけでなく、「専門学の講究」(高等専門教育と研究) も重要だと言う。それは、政...

ベンチャーキャピタルの歴史

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  VC: An American History VCの歴史についてまとめた本(2019年ハーバード大学出版)   19世紀の米国の捕鯨漁にVCのルーツを見て、 ARD 、 Greyrock , Venrock , Arthur Rock , Tom Perkins , Don Valentine から2000年のドットコムバブル直後 までのVCの歴史が纏まっています。 ブームになったクリーンテックへのテーマ投資 はVC業界として失敗した取り組みでした。 ・Venture capital investments in “cleantech” in recent years appear to be a classic case of strategy-structure misalignment. 「VCファームのリターンにとって、GPの人的資本が組織的資本の2〜5倍大事であり、パートナーのタレントへの依存度が高いことからも、1959年のLimited Partnership の活用からVC業界は驚くほど組織的な進化をしていない。」という以下コメントがありますが、今のVCファンドが内包しているファンド期限の制約などは、いずれチャレンジしたい課題と思っています。 ・As the VC industry faces the future, an important question is whether firms’ organizational structures will ever add as much value as their “partner capital.” Michael Ewens and Mathew Rhodes-Kropf find that the human capital of the general partners in a venture capital firm is between two and five times more important than its organizational capital to explaining its returns. ・The fact that partners’ talent matters most is an important finding, and it...

量子力学の奥深くに隠されているもの

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  邦題 『量子力学の奥深くに隠されているもの: コペンハーゲン解釈から多世界理論へ』 :量子力学はその計算結果の正しさからshut up and calculate派により実世界での応用が進められてきましたが、その解釈はまだ未解決。コペンハーゲン解釈では、観測による波動関数の収縮を必要とする。これを避けるのが宇宙が分岐していく多多世界解釈。この本にも出ている Universe Splitter はジェノバの研究所で光子のスプリットにより2の選択肢を2つの宇宙に分岐するという設定のアプリ。このアプリにより設定した選択肢から分岐結果が送られて、例えばコーヒーを飲む自分がいる宇宙と、紅茶を飲む自分がいる別の宇宙に分岐されていく。この解釈だと観測者問題は回避できるが、無数に分岐する多くの宇宙が生成されている事になる。個人的には、宇宙の構成要素には時空間と物質エネルギーに加えて情報も根源的ま存在であると考えることから、この本ではごく簡単に言及されている量子ベイズ主義(QBism)もより興味深い解釈と思っております 。 AUdibile版 「Something Deeply Hidden - Quantum Worlds and the Emergence of Spacetime」

大学とは何か

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「 大学とは何か  」吉見俊哉 (著) (岩波新書)  中世の大学の誕生から、19世紀のドイツ、20世紀の米国で進められた大学の変遷と明治維新後の日本での大学の誕生と国立大学の法人化までを俯瞰されています。 日本では 「19世紀半ばの江戸や大坂、長崎などの都市で生じていた現象は、「自由に浮動する」知識人=志士たちが列島を旅しながら有力な教師について翻訳された知識を必死で学び、その外来の知の普遍性によって旧套打破を図っていこうとする、中世ヨーロッパの大学勃興期にも似た出来事」があり、「日本の大学教育のなかで、私学の伝統が国家の後押しを受けてきた官学を凌駕する力強さをもっているのだとするなら、それはこうした幕末の草のネットワークと近代知が結ばれていった場が、まさしく日本の私学の根源にある限りにおいてであろう」。 「近代日本の大学で重要なことは、最初に帝国大学ができて、それに続いて慶應義塾をはじめとする私学ができたわけではないことである。順番はむしろ逆で、維新期における旧士族の危機感を背景にした私塾の興隆がまずあり、そのような草 の知が自由民権運動に結びついていくことに対する危機感が、帝大創設を促していった。」 この先の大学の在り方については 「私たちの時代は16世紀に似ていなくもない。時代が中世から近代へと向かったあの時代、新しい印刷技術が爆発的に普及し、それまでの都市秩序がより大きな領邦秩序に吞みこまれていくなかで大学は衰退した。ところが今、やはりデジタル技術の爆発のなかで地球大の秩序が国民的な秩序を吞みこみながらも、時代はむしろ近代からより中世的な様相を帯びた世界に向かっている。」 と書かれておりまますが、コロナ禍がペスト同様にもたらす人類への影響も含めて、良い意味での中世的な学問の世界への回帰には共鳴します。昔から学問には国境なくもはや英語は現代のラテン語になったのだと言えます。 オックスフォード大学もここ30年でも大きく変化しており、伝統を守りながら変わり続けられる事が生き残る為にも大事なのだと痛感する所。 著者は「大学は「エクセレンス」と同時に「自由」の空間を創出し続けなければならない。」と結びますが、「自由」であることが良い研究や学問の為に何よりも大事なのだと思います。 尚、本書では触れられてないのですが、1970年代頃から米国で形成され...

国家はなぜ衰退するのか

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邦訳 『 国家はなぜ衰退するのか 』繁栄と衰退は イノベーションを産む政治経済体制と組織があるか否かに因る。搾取する国や組織は滅びる。 “Nations fail today because their extractive economic institutions do not create incentives needed for people to save, invest and innovate.“ 自由にトライアル&エラーを促すインセンティブが繁栄の鍵。日本の明治維新は世界の中でも素晴らしいExtractive InstitutionからInclusive Institutionへの体制変更だったが、これを維持しないといつでも搾取体制に戻って衰退してしまう。思うに日本の衰退を止めるのは既得権益による利権支配と官僚による権限支配からの脱却が必要で、端的にいうとこれらの支配エリートによる創造的破壊への恐怖を打破して、官主導ではない自由な学問研究とそれに基づくベンチャー等による民間でのイノベーションを創出続けられる政治経済体制と組織を維持発展できるかどうかにかかっている。

Antifragile:反脆弱性

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  Vinod Khoslaが以前スタンフォード・ビジネス・スクールのインタビューで言及 していたブラックスワンの著者による『 Antifragile 』 (邦訳: 反脆弱性 )。 "an option is what makes you antifragile and allows you to benefit from the positive side of uncertainty, without a corresponding serious harm from the negative side." というのは実はVCの真髄です。 VCを産んだ米国のアセットはリスク・テークとオプションの活用にあり、対して今の日本は失敗を恥とし、人々はリスクを隠して目を頭り、事なかれとする姿勢が原発事故を招く、日本には敗者への敬意、判官贔屓の伝統がある筈だが、と手厳しい。これが今の日本の世界からの見え方になっています。これは何とか変えたいですね。 "Like Britain in the Industrial Revolution, America’s asset is, simply, risk taking and the use of optionality, this remarkable ability to engage in rational forms of trial and error, with no comparative shame in failing, starting again, and repeating failure. In modern Japan, by contrast, shame comes with failure, which causes people to hide risks under the rug, financial or nuclear, making small benefits while sitting on dynamite, an attitude that strangely contrasts with their traditional respect for fallen heroes and the so-called nobility of failu...