失敗のすすめ
ベンチャーキャピタルの秘伝の一つは、我々があらゆる失敗の経験を蓄積していることにあります。何かに取り組む際におおよそどのようなトラブルが起こるか予測がつき、それらのリスクをマネージしていくことでダウンサイド・シナリオを避けて行きます。成功には再現性はありませんが、失敗には再現性があります。その観点でも失敗は財産なのです。
致命的でクリティカルな悪い失敗を何とか回避しつつ、良い失敗を積みかさねて活かしていく事が大事です。自分は避けたいですが、他人や他社、他国の致命的な失敗も学ぶことで財産となります。
自分の関与先でも上手くいかない事は当然多々あります。全ての投資先において常に失敗とトラブルの連続です。上手くいくかどうかの違いは、諦めずに続けられたかどうか、失敗から学び失敗を活かしながら変わり続けられたかどうか、致命的でクリティカルな失敗で詰まなかったかどうか、だけかと思います。また、失敗をして危機的な状況下では逃げたり責任を押し付けたり(忍法掌返し、と言われる術)をする人々が出てきますが、誰が逃げず最後まで一緒に戦える真の仲間と同志だったか判別する局面でもあります。そのような戦友がまた自分の財産となるのです。
日本の失敗を恥じて隠す文化が、悪い致命的な失敗を招きます。これが日本のイノベーションの阻害要因となっています。日本の減点主義の教育の問題と、失敗した際に組織の面子と体裁を保つことだけに終始して、最後は辞任するだけで解決として全てを無かったこととして問題に蓋をする近年の日本の風習が原因かと思います。
成功は失敗と一体として生じるもので、失敗なくして成功も生ません。
以前必敗の経験を共有しようと試みた事がありましたが、中々難しく、「失敗学のすすめ」の以下が参考になるかと思いました。
- ・失敗情報は主観で伝達。客観的な失敗情報は役に立たない
- ・失敗した人がどんな事を考え、どんな気持ちでいたかを第一人称で伝達する
- ・失敗の知識化のフォーマット
- 「・・・で死にそうになった事」など分かり易い タイトル
- 事象
- 経過
- 原因 (発生時にどう感じたか推定原因)
- 対処 (失敗前から失敗後)
- 総括
- 知識化
- 危険予知訓練と、仮想失敗体験が大事であること
- 局所最適全体最悪
- マニュアルによる対策は形骸化、作業者を思考停止に追い込み、また失敗を呼ぶ