子供のように考える:オックスフォード大学で教わる5つの考えるスキル
Jesus Collegeの政治学のチューターがオックスフォード大学の学部生に教える5つの考えるスキルを解説しています。特に1つ目はとても大事で、自分自身も唯一学んだことかもしれません。他人の知識や意見をオウムのように繰り返す能力は、自分が他人に便利に操られる道具としての優秀さを示すもので、賢さではありません。人々が知らないことを恥じずに失敗を恐れずに自分の頭で自分の為にゆっくり考える力を持つことが、独裁者や権力による洗脳や支配に対抗する唯一の手段ともなります。このスキルを授けるのが人類文明を支える最も大事な教育なのだと思います。又、博士や専門家と言われる人は自身の権威を守りたいがあまり、自由に疑問をもつことができなくなる印象がありますが、専門家でも専門以外の知らない事の方が多いわけで、常に子供のように疑問を持つ自由を忘れないようにしたいものです。
以下、Matt Williams博士の解説となります。
考えるスキルは訓練で身につける事が可能なもので、生まれつきの能力ではありません。なので頭が良くないからと諦める必要は全くなく、これらの能力は練習すれば身みつけることができるのです。
1. Meta Cognition(考えることを考える)
まず考えることについて考えることです。
オックスフォード大学の入学試験のインタビューで、星条旗を見せて何が観察できるかを問うテストがあります。
典型的な受験生は試験官が星条旗に関する知識や事実を知っているかを確認しようとしていると想定して答えてしまいますが、オックスフォードの試験官は受験生個人が何を見ているかに関心があります。
多くの場合、人々の考えるスキルは誰かの考えの受け売りでしかなく、自分自身の考えではないことが問題なのです。
多くの受験生は星条旗を見て50の星と13の横縞があると答えますが、これはそのように他人から聞いた為である。インタビュー時間内に自分で数えて観察する事はほぼなく、従いこれは自分のユニークでオリジナルの観察ではなく他人の知識の派生でしかありません。
人生で遭遇する多くの物事を私たちは他人の目を通じて見てしまっています。誰かから星条旗には50の星があると知っていなければいけないと教えられたから。その為、誰かから星条旗について聞かれたら自動的に口にしてしまうように殆ど条件付けられているとも言えます。なので、これは他人の目でみた知識であるということを思い出す必要があります。
もちろん、これは間違いではなく、この答えに問題があるわけではありません。でも、これは自分自身のオリジナルな考えではないのです。
オックスフォード大学で求めているのは、問題を創造的に自分自身で自分の為に解決できる人であり、究極的には大学ではそれができるようにトレイニングをしています。知識のストックを保持して、その知識を必要な時にすぐに使えるようするようなトレイニングはしていません。
オックスフォード大学の学生には、自分すらも想像もつかないような問題も含め、いかなる問題でも自分自身の為に解決できるようなスキルを教えているのです。
他人が言ったことを正しく反復するのではなく、自分自身の考えであることを確かにする方法は、より子供のように考えること、幼児のように考えることです。
知識がない子供や幼児は、何も当たり前に思わずに、ものづごく深淵な問いをします。なぜ空は青いのか、なぜ金が金属なのに黄色いのかなど、これは心が折れる難しい問いなのです。子供は疑問を持ついことに恥ずかしさを感じません。子供は知識がないので、周りの世界を分析する際に、他人が聞きたいと思う答えを単に口にするこはできません。
生まれて初めて見た幼児にようにもう一度星条旗を観察してみて下さい。子供の心に戻って、子供の時に感じた世界の不思議に対する驚きや我々を取り巻く世界の膨大な細部に気づく能力を取り戻すことにオックスフォード大学では学生に対して多くの時間を使っているのです。
子供なら、星条旗を見て、それは何か?なぜこれがあるのか?それがなぜ必要なのか?なぜこの形状なのか?なぜこの比率なのか?なぜ青の四角が左上にあるのか?なぜそこには尖った形状のものがあるのか?なぜそれは星と言われるのか?なぜそれは5つの先端があるのか?なぜ横縞があるのか?なぜ縦縞ではなく横縞なのか?、、など多数の疑問を持ちます。
このような問いをすることは実は問題を分析していることに相当します。問題を小な問題にブレークダウンすることで、順番に考えることができるようになるのです。これはとても有益な思考スキルなのです。
それだけでなく、このスキルの最も重要な事は、自分自身の為に物事を観察することができることにあります。
これにより初めて自分自身の目で旗を見ていることになるのです。誰か他人の目を通じて旗を見ているのではないのです。誰か他人の考えに支配されることを許さず、最終的に自分自身の考えを活用していることになるのです。
正直な所、オックスフォード大学の学部生がこの事に気づくのに数年を要します。なぜなら多くの学生は彼らが自分自身の為に本当に考えることが許されていない、その為の資格を持っていないと感じているからです。
ここで言いたいのは頭の良さではなく、自分自身の為に話す能力と意志の問題で、子供は大人よりもそうすることにずっと自信があり優れているということです。
どのように自分が考えるかを考え、自分自身の為に考えていることを確かめること、その為にはより子供のように考えることが大事なのです。
2. Think Slow(ゆっくり考える)
ダニエル・カーネマンが発見した2つの思考システム。
- システム1:直感的、反射的、努力不要な思考
- システム2:遅い、努力が必要な思考
星条旗を見ると最初にシステム1が稼働して50の星と13のストライプという答えが出てしまいますが、これは努力した思考ではなく、他人に教えられた知識を反射的に口にしているのにすぎません。
知識のない子供はシステム2の思考で、ゆっくり考えることができます。
オックスフォードの学生は頭の回転が早いと思われていますが、パラドックス的ですが、これは彼らがゆっくり思考する訓練を受けている為なのです。
ゆっくり考えるヒントに以下PACEがあります。
- P:PLAY to your strengths.(自分の強みを活かす)
- A:but be AWARE of your limitation(自分の限界を意識する)
- C:CREATIVITY means detail(創造性は細部から)
- E:EXAMINE alternatives(考えていないことを考える)
3. Improve your Memory(記憶方法を学ぶ)
数字に意味を持たせ物語を作るなどの記憶術は役に立ちます。
- 杖
- アヒル
- りんご
- ボート
- フック
- さくらんぼ
- ブーメラン
- 雪だるま
- 魚
- バットとボール
4. Fail Better(より良く失敗する)
人間は失敗なく成功しません。失敗はスキルを向上する為の本質的に必要な要素です。経験とは失敗の蓄積です。人生も同様です。失敗を避けないといけない、失敗は負け組だというイメージ間違いです。失敗は不可避なもので、失敗を避けようすると致命的な失敗を招くことになります。失敗を恐れる人は何も試しません。失敗は不可避なもので、恐れたり恥ずべき事ではありません。逆に失敗は成長して強くなる機会なのです。
我々は物事を考え抜く意志を持つ必要があるのですが、それにより反対意見にあったり、間違っていて失敗につながることもあります。しかし人を傷付けない限り、それは構わないのです。私たち人類は失敗することにもっと上手くなる必要があるのです。
後、きちんと食事すりこと、子供のように考えること、アインシュタインのように空想をすることも必要です。また名声ではなく驚きを追求すること(Chase wonder, not glory)が大事で、それにより失敗を恐れなくなります。
5. Making Plans(計画を立てる)
計画を立てる事に失敗したら、失敗を計画すべし(If you fail to pan, you should plan to fall)と言われれる通り。SMARTゴールを設定することが大事です。
- S: Specific(具体的で)
- M: Measurable(測定可能な)
- A: Achievable(達成可能な)
- R: Relevant(的を得た)
- T: Time-Bound(起源のある)