学部と大学院
オックスフォードでも学部と大学院は大分事なり、昔は自国生中心の学部至上主義で、大学院は少数のドクターを除き外国人に箔付け用学位を1年で発行するというビジネスモデルだった気がします。今は大学院生の数も存在感も上がってきて相当変質しており、それも伴って5年連続世界一になっているのだと思います。歴史がありながらも変化し続けれる事が最大の強みでしょう。
経験しないと伝わらないと思いますが、学部の教育の特徴はチュートリアルであり、ビジネススクールの教授陣を見てても、オックスフォードの学部出身者はそれ以外の教授とDistinctiveに違う特徴を感じます。
「オックスフォードで人文系科目を専攻する学生は大概、ほとんど講義を取らず、ほとんど講義に出席もしない」、「その代わりに、学生はほとんどの時間を、専門のチューターとの週一、1時間の個別指導「チュートリアル」に向けた準備の独学に費やす。だからオックスフォードの学生は知識を「導かれる」というより「案内」されるのだ。」
チュートリアルのない大学院の授業を受けていて、学部のチュートリアルは本当に贅沢な教育機会だったのだなと痛感してます。ビジネススクールは70名強が今はハイブリットで講義を受けてますが、大人数でのディスカションには限界もあり、途中でブレークアウトしてグループディスカション等ありますが学生同士だけ。専門家と少人数でディスカションする事との比較にはならない。それに対し学部のチュートリアルは独学を案内してくれるという手間のかかる贅沢な教育でした。
ビジネススクールは人数が多いので工場のような印象ですが、カレッジは家に相当します。学部でのチュートリアルはカレッジで行われるので家への帰属意識が強いですが、大学院だとカレッジでの教育がなく特にビジネススクールはカレッジの歴史やディナーをマーケティング目的でアピールしますが、実際にはカレッジとの関わりを持つ余裕が殆どない印象があります。
大学院でも、学部生の習性もあってか、ありきたりの講義やハーバードのケースとかは個人的には全くつまらず苦痛すら感じてしまい、唯一嬉しいのは独自の深い洞察から学問やテーマに関する興味や探究心を掻き立てる気付きを与えてくれる先生です。そのような先生はオックスフォード学部出身者が多い気がしますが、その気付きと案内に基づいて知的好奇心を刺激されて独学するというのは大学院でも変わらないのかもしれません。ただし、個別に相談できる頻度が限られるのがハードルですね。
結局、教育も研究も独学なので、常にn=1で決して均一にはならず、皆自分の考えを持つものが同じ寮に暮らして生活を共にするというのが一番の理由でしょうか。コロナで寮に一緒に住む事が難しくなった時代に今後オックフォードがどう進化するかが見ものです。ペストを経てオックスフォードを含め学問は大きく発展しました。コロナによる試練も人類と学問の進化にとって大きな意味があるえしょう。