ベンチャーキャピタルの歴史

 

VC: An American History

VCの歴史についてまとめた本(2019年ハーバード大学出版) 

19世紀の米国の捕鯨漁にVCのルーツを見て、ARDGreyrock, Venrock, Arthur Rock, Tom Perkins, Don Valentineから2000年のドットコムバブル直後までのVCの歴史が纏まっています。

ブームになったクリーンテックへのテーマ投資はVC業界として失敗した取り組みでした。
・Venture capital investments in “cleantech” in recent years appear to be a classic case of strategy-structure misalignment.
「VCファームのリターンにとって、GPの人的資本が組織的資本の2〜5倍大事であり、パートナーのタレントへの依存度が高いことからも、1959年のLimited Partnership の活用からVC業界は驚くほど組織的な進化をしていない。」という以下コメントがありますが、今のVCファンドが内包しているファンド期限の制約などは、いずれチャレンジしたい課題と思っています。
・As the VC industry faces the future, an important question is whether firms’ organizational structures will ever add as much value as their “partner capital.” Michael Ewens and Mathew Rhodes-Kropf find that the human capital of the general partners in a venture capital firm is between two and five times more important than its organizational capital to explaining its returns.

・The fact that partners’ talent matters most is an important finding, and it is consistent with the fact that the VC industry has been remarkably devoid of organizational innovation since Draper Gaither and Anderson was founded as a limited partnership in 1959.
この本の対象期間後ですが、VCもAndreessen Horowitz (a16z)Y Combinator(2005年設立)のような新しい形態も出てきて、VCが当初の職人的な世界から組織化が進み、よりコンサルタントや投資銀行のよな出来の良い専門職化した印象があります。

シリコンバレーがハリウッド化した今、逆にイノベーション後進国の日本にこそ、米国の黎明期のVC達が挑んだのと同じような、よりエキサイティングなフロンティアがあると前から思っております。大学等からの技術を軸に良い会社を創るというミッションはVCの誕生当初から普遍です。


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