人間の死にざま



 「生き物の死にざま」に「死」という生命の発明について考えさせられる。

  • カゲロウが3億年生き残り続けたのは、儚い命の為。生物は次の世代の為に生きる。個体の「死」は種としての存続のための新陳代謝のメカニズムなのだ。
  • 不老不死のクラゲとして知られるベニクラゲには、5億年間生き続けているものもいるのでは。
  • そもそも、単細胞生物には「死」がない。ひたすら自分のコピーを繰り返す単細胞生物には生物学的な定義での「死」はないとされている。
  • 38億年の生物の歴史中、単細胞生物しかいなかった28億年間は生物に「死」はなかった。
  • 「死」は10億年ほど前に多細胞になった生物が自ら作り出した偉大な発明なのである。
  • 「死」のない単細胞生物はコピーミスによる劣化が起こり、また環境変化に適合っできないと種として絶滅するリスクがある。
  • 新しいものを作りだす仕組みが「死」なのである。生命は「死」という再生の仕組みを作り出した。
  • 多細胞生物でも アブラムシは同じ遺伝子を持ったクローンを作る。環境が合わないと絶滅する。
  • 哺乳類で珍しく真社会性生物のハダカデバネズミは老化しない。不老長寿。年齢に関わらず病気や外部用要因による死亡率sが一定。おいくることはなくても死は常に隣り合わせ。
  • テロメアを進化させて、老いて死ぬ事は生物が望んで作った仕組み。
  • 人間の倫理学を説いたカントが動物は人間の為に存在すると言ったらしく、動物は倫理学の対象外だったのかと思う。

1990年のオックスフォード大学のオープン・デーで生物学の講義をしていたリチャード・ドーキンス先生が、講義の終わりに学生から「人はなぜ生きているのか」と問われて「遺伝子を伝える為」と答え切ったのを覚えている。ドーキンス先生的にはキャリアである人間は死んでも遺伝子は存続するのだが、意識を持った人間は自分が死んでも他人の記憶の中でも生き続けるのだろうと思う。すると、人間の死にざまは、それぞれがどのような物語を残せるのかにかかっているのではないか。

cf. 

若返りの方法がここから見つかる!不老不死の生物・べニクラゲがもつ驚異の力


不老不死の鍵を握る哺乳類「ハダカデバネズミ」。老化を見せず生殖も(今のところ)永遠に続ける


知っておきたいテロメアとエイジングの関係