大学に挑むVC
「Paper Belt on Fire」はオックスフォード大学の哲学の博士家庭を中退し、学校の先生をしていた著者はピーター・ティール財団でティール・スカラーシップを立ち上げて、将来性のある若者に大学に行く無駄をやめさせて世界を変えるチャレンジを促す仕事に従事する。その後、大学に行かないドロップアウトした有望人材に専門的に投資する1517ファンドを立ち上げる。
1517年はルターが宗教改革を始めた年。著者の考えでは、大学が過去の教会と同様に権威化しており改革が必要な対象と考える。大学は学位という紙を発行することで権威付けをしつつ研究を独占している。その結果、学問のフロンティアで研究に携われるのは、学部4年と博士までの7-8年という修行をした後にしか許されない。
この様な形骸化した大学をルターのように改革し、若い時からすぐに学問のフロンティアにある問題と人類社会の難問に取り組めるように、大学に行かず能力のある人材をVCとして支援していく。
題名にあるRust Beltならぬ「Paper Belt」とは、ハードバードなどの学位という紙を発行して権威を維持している大学らをさす。
1700年ソルボンヌで数学者のヒルベルトが23の未解決問題を提示しその解決を同僚たちに呼びかけた。その結果8つは解決、9つは一部解決、4つは未解決、2つは問題自体が曖昧すぎて解決不能との結果。ゲーテルの不完全性定理の解決はその後のノイマンとチューリングによるコンピューターの発展に繋がった。
イギリスのロイヤル・ソサエティーは、17世紀にオックスフォード大学のボイルを中心に集まった自然哲学研究者の秘密組織「見えないカレッジ」(Invisible College)に起源があり、151ファンドも既存の大学の研究に対する独占を打破して、若い人が自由に学問のフロンティアにある問題にすぐに挑めるようにしたいとしつつ、著者は以下の人類課題を提示している。
エネルギー・クリエーション- 核融合
- 原子力
- 風力・太陽光
- 地熱
- 水力・潮力
- 超音速旅客機
- 空飛ぶ車
- 自動運転と安全
- 交通渋滞解消
- 癌治療
- 免疫治療
- 感染症
- 肥満・糖尿
- 長寿、アンチ・エイジング)
- どのようにキュリオシティを持たせて学ぶモチベーションを持たせるか
- 効率的に学べるようにする
- 学んだことを定着させる
- 学んだこをと他の分野にも応用できるようにする
- クリエイティビティを醸成する
- これらを安いコストでおり大きなスケールで実現する
- 量子コンピューター
- 淡水化技術
- 雨雲生成技術
- 灌漑技術
- CO2回収技術