Posts

Showing posts from December, 2021

VC25年目に、改めてベンチャーキャピタルについて

Image
明日からの2022年でVC歴25年になります。初心に戻り、尊敬するVCの言葉をまとめました。 (1)VCは事業を創出する事業 セコイア・キャピタルの創始者の ドン・バレンタイン 氏は、VCの仕事は「事業を創出する事業で、時には新しい産業をも創出する。VCは金融取引ビジネスではなかった。VCは新しい会社を作っていく。たまには新い産業も作っていく。」と言っています。新い会社を構築し、新い事業を創出し、新しい産業をも構築していくのがVCの使命です。 “ we were in the business of creating businesse s, and sometimes creating industries; we were not in the financial transactions business. We were going to build companies. We were going to build an industry once in a while” - Don Valentine, Sequoia.  Capital Gupta, U. (2000), Done Deals : Venture Capitalists Tell Their Stories, edited by Gupta, U., book, Harvard Business School Press, Boston. バレンタイン氏は2019年に亡くなられました。今はアカウントがなくなっていますがセコイアの投資先でもあったLinkedInで繋がっていたのは多分日本人で唯一だったかと思います。 (2)チームの構築と成長を支援 クライナー・パーキンスの ジョン・ドーア 氏は「 偉大な起業家とCEOは良いチームを構築できる。良いVCは良いチームの構築と成長を支援しなければいけない。」と言っています。会社も事業も人が集まって成す事なので、詰まるところ如何に良いチームを創れるかにかかっています。良いコーチとして、如何に人の心を動し人とチームを育てて行けるかがVCのアートです。 "Great entrepreneurs and great CEOs are team builders. And good venture capitalists must help b

イスラエルの大学系VC - テルアビブ大学の「TAU Ventures」

Image
イスラエルのスタートアップはミリタリー技術の研究を基にしたものが中心で、イスラエルを開発拠点にしながら、シリコンバレー等の米国拠点で人材と資金を調達して世界市場を開拓する、技術スタートアップの「イスラエル・モデル」でこれまで成功してきました。 一方で、これまでイスラエルの大学からのスタートアップはあまり注目されて来なかった印象があります。大分前ににイスラエルの Technion ( イスラエル工科大学 )から大学によるVC設立の相談を受けた事があり、そのような話を聞いた記憶があります。その時は確か自分の大学だけのCaptiveのVCにすると上手くいかない、フィナンシャルなディシプリンが大事という話をしました。 その後、イスラエル国内トップの テルアビブ大学 がイスラエルの大学としては初の大学系VC「 TAU Ventures 」を2018年に設立、1号ファンド$20Mから18社に投資をされて、 今回$50Mの2号ファンドの設立を発表 しています。 Israel’s First University Venture Capital Fund Proves the Model Works TAU Venturesは現状イスラエルで唯一の大学系VCとの事ですが、他のイスラエルの大学も関心を持っているようです。 TAU ventures is still the only fund in Israel to be affiliated with a university, but he says most of the other Israeli universities have expressed interest in the model, and have been in contact with him. 但し、大学というビューロクラティックな組織でVCを作るのは大変で、大学はスタートアップのスピードに対応できず、独立した組織を作るのが一つのチャレンジだったと語っています。 There are several challenges, Cohen says, to establishing funds like this in Israeli higher education institutions. “Universities are fairly bureau

早稲田大学のエンダウメント

Image
早稲田大学がエンダウメント(大学基金)の運用でPEにも投資を開始しており、2050年に運用資産3000億―5000億円を目標に据えているとの事です。 ようやく日本の大学でも 欧米の大学と同じように未来に投資し運用するエンダウメントの取り組みが始まっていることは素晴らしいです。 早稲田大学は寄付金などの資産を運用して教育や研究の財源に充てる大学基金の「エンダウメント」を展開する。 運用資産に余裕があることから、リスク回避と流動性にこだわらない150億円のエンダウメント枠を設定。リターンの高いミドルハイリスクのPE投資を始めた。 早大は大学評価機関の英クアクアレリ・シモンズ(QS)による世界大学ランキングと運用基金の相関を踏まえ、50年に運用資産3000億―5000億円を目標に据えている。 -  早大が教育・研究財源に充てる新たな大学基金「エンダウメント」って何? ニュースイッチ 2021年11月20日より。 Sequoia CapitalのMike Moritz氏は、母校のオックスフォード大学の エンダウメント を米国の大学のような運用する体制にすべく、彼が出身の クライスト・チャーチに 2008年に£25Mを寄付 した際は、自分の寄付にクライスト・チャーチが£75Mをマッチする事を条件として、これを オックスフォード大学の エンダウメント( 基金)運用会社の Oxford University Asset Management(OU AM)で運用させるようにしました。 また2012年に追加で母校への£75Mの寄付をする際も、£25Mの3回払いとし、Moritzの£25Mにエンダウメントの£25Mのマッチングを条件とし、更に追加で£50Mの寄付を募って合計£100Mに達した時に、2回目の£25Mの寄附がされるというインセンティブ設計をしている所が流石VCらしい。 いずれにしても寄付が消化されるだけでなく、未来への投資d運用されてその運用益が次の教育研究の原資となる米国のような大学エンダウメント運用の取り組みの口火を早稲田大学が切られたことは重ねて素晴らしい事だと思います。 自分もいつかMike Moritz先輩のような寄付ができる人物になりたいものです。