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Showing posts from January, 2023

大学に挑むVC

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「 Paper Belt on Fire 」はオックスフォード大学の哲学の博士家庭を中退し、学校の先生をしていた著者はピーター・ティール財団でティール・スカラーシップを立ち上げて、将来性のある若者に大学に行く無駄をやめさせて世界を変えるチャレンジを促す仕事に従事する。その後、大学に行かないドロップアウトした有望人材に専門的に投資する 1517ファンド を立ち上げる。 1517年はルターが宗教改革を始めた年。著者の考えでは、大学が過去の教会と同様に権威化しており改革が必要な対象と考える。大学は学位という紙を発行することで権威付けをしつつ研究を独占している。その結果、学問のフロンティアで研究に携われるのは、学部4年と博士までの7-8年という修行をした後にしか許されない。 この様な形骸化した大学をルターのように改革し、若い時からすぐに学問のフロンティアにある問題と人類社会の難問に取り組めるように、大学に行かず能力のある人材をVCとして支援していく。 題名にあるRust Beltならぬ「Paper Belt」とは、ハードバードなどの学位という紙を発行して権威を維持している大学らをさす。 1700年ソルボンヌで数学者のヒルベルトが23の未解決問題を提示しその解決を同僚たちに呼びかけた。その結果8つは解決、9つは一部解決、4つは未解決、2つは問題自体が曖昧すぎて解決不能との結果。ゲーテルの不完全性定理の解決はその後のノイマンとチューリングによるコンピューターの発展に繋がった。 イギリスのロイヤル・ソサエティーは、17世紀にオックスフォード大学のボイルを中心に集まった自然哲学研究者の秘密組織「見えないカレッジ」(Invisible College)に起源があり、151ファンドも既存の大学の研究に対する独占を打破して、若い人が自由に学問のフロンティアにある問題にすぐに挑めるようにしたいとしつつ、著者は以下の人類課題を提示している。 エネルギー・クリエーション 核融合 原子力 風力・太陽光 地熱 水力・潮力 トランスポーテーション 超音速旅客機 空飛ぶ車 自動運転と安全 交通渋滞解消 ヘルス 癌治療 免疫治療 感染症 肥満・糖尿 長寿、アンチ・エイジング) 教育 どのようにキュリオシティを持たせて学ぶモチベーションを持たせるか 効率的に学べるようにする 学んだことを定着させる 学んだ

オックスフォード大学理学部物理学科で学ぶこと

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学部で色々な科目をつまみ食いしてリベラル・アーツ(教養)を学ぶというのはアメリカ的な大学教育の発想で、イギリスで特にオックスブリッジの学部は、米国や日本のような単位制ではなく、学部期間を通じて自分の好きな専門科目しか学ばなくていいのが大きな特徴で魅力だ。 ホーキングも学んだオックスフォード大学の物理学科は学部3年(BA)/4年(MPhys)の期間中、本当に物理学だけしか学ばない。ちなみに、ケンブリッジ大学の学部は自然科学全般を学ばされて物理以外の科目も少し入ってしまうので、オックスフォードの物理の方が純潔た。 学部入学は理学部全体ではなく学科毎の選考であり、 オックスフォード大学理学部物理学科の入学な案内  によると、 インタビュー試験に呼ばれた割合:32% 合格率: 13% 入学者: 182人 日本の大学、例えば 京都大学理学部物理学科 などの日本の大学で教わる中身との比較感はわからないが、オックスフォード大学は物理学科だけで 182人もいるので、物理学だけを ホーキングと同じように学びたい人にはお勧めしたい。 30年前に何をやっていかた忘れていたが、以下のような カリキュラム になっている。本当に他の科目はい一切やらずにこれだけを物理学科の学生は学部時代で学ぶのです。 YEAR 1 CURRENT COURSES Classical mechanics and special relativity Electromagnetism, circuit theory and optics Mathematical methods I Differential equations and waves Short options, for example: Astronomy Complex analysis Quantum ideas YEAR 2 CURRENT COURSES Thermal physics Electromagnetism and optics Quantum physics Mathematical methods II Short options, for example: Classical mechanics Climate physics Introduction to biological physics YEAR 3 CURRENT

2023年、7つの問い

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科学に基づく技術革新からのイノベーションという人類の道具の進化に携わっているが、昨年は人類が未だ戦争を止めることすらできず、自らを滅ぼし得る状態にあることを痛感し、人類社会は決して賢くなるような進化をしていないのではないかと強く問わせられる一年だった。 今年から自分自身の関心を以下7つの問いに整理し、最新の学問を学び理解を深めていきたい。 一つ目は物理について。 宇宙の中に存在する物とそれらが従う法則について引き続き。ここで従来の物理学が扱う時空間と物質・エネルギーに加えて、情報も根源的な存在の一つとして同列に位置付けられるべきではないか、また情報の価値と意味とは何か。これらを含めた新しい物理学の枠組みがあるのではないか、について。 第二に生命について。 物質から生じる生命について。生命の誕生、物質と生命の境目について。死とはなにか。 第三に意識について。 生命というシステムが意識を持つということについて。生物の進化のどの時点から意識が生じるのか、意識と無意識の境目、意識とは何かについて。 第四に心理について。 意識が生む人間の心と心理と感情について。人間は何により操られるのか。心の健康をいかに保てるのか。いかに幸せに生きれるのか。 第五に社会について。 人間が構成する社会について、なぜ人間は独裁者に操られるのか、情報と恐怖による支配をテクノロジーが解き得るか、戦争を防ぐ有効な手段はないのか、またジョン・ロックとアダム・スミスに続く民主主義と資本主義の先への人類社会の進化について。 第六に進化について。 人間が生み出すテクノロジーによる人類社会の進化とイノベーションについて。科学では、トーマス・クーンによる科学革命の構造によりその営みと仕組みが理解されたが、テクノロジーとは何か、またその進化の仕組みと行き着く先について。及び人類自身の進化について。 最後に倫理について。 思想信条の異なるものが集まる地球社会として合意できる善悪と正義の共通規範は何か。人間の幸せはいかに実現できるか。人間は詰むべき徳とは何か、個々の人間がいかに死ぬことで、人類社会に何を継承できるのか。