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大学に挑むVC

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「 Paper Belt on Fire 」はオックスフォード大学の哲学の博士家庭を中退し、学校の先生をしていた著者はピーター・ティール財団でティール・スカラーシップを立ち上げて、将来性のある若者に大学に行く無駄をやめさせて世界を変えるチャレンジを促す仕事に従事する。その後、大学に行かないドロップアウトした有望人材に専門的に投資する 1517ファンド を立ち上げる。 1517年はルターが宗教改革を始めた年。著者の考えでは、大学が過去の教会と同様に権威化しており改革が必要な対象と考える。大学は学位という紙を発行することで権威付けをしつつ研究を独占している。その結果、学問のフロンティアで研究に携われるのは、学部4年と博士までの7-8年という修行をした後にしか許されない。 この様な形骸化した大学をルターのように改革し、若い時からすぐに学問のフロンティアにある問題と人類社会の難問に取り組めるように、大学に行かず能力のある人材をVCとして支援していく。 題名にあるRust Beltならぬ「Paper Belt」とは、ハードバードなどの学位という紙を発行して権威を維持している大学らをさす。 1700年ソルボンヌで数学者のヒルベルトが23の未解決問題を提示しその解決を同僚たちに呼びかけた。その結果8つは解決、9つは一部解決、4つは未解決、2つは問題自体が曖昧すぎて解決不能との結果。ゲーテルの不完全性定理の解決はその後のノイマンとチューリングによるコンピューターの発展に繋がった。 イギリスのロイヤル・ソサエティーは、17世紀にオックスフォード大学のボイルを中心に集まった自然哲学研究者の秘密組織「見えないカレッジ」(Invisible College)に起源があり、151ファンドも既存の大学の研究に対する独占を打破して、若い人が自由に学問のフロンティアにある問題にすぐに挑めるようにしたいとしつつ、著者は以下の人類課題を提示している。 エネルギー・クリエーション 核融合 原子力 風力・太陽光 地熱 水力・潮力 トランスポーテーション 超音速旅客機 空飛ぶ車 自動運転と安全 交通渋滞解消 ヘルス 癌治療 免疫治療 感染症 肥満・糖尿 長寿、アンチ・エイジング) 教育 どのようにキュリオシティを持たせて学ぶモチベーションを持たせるか 効率的に学べるようにする 学んだことを定着させる 学んだ

オックスフォード大学理学部物理学科で学ぶこと

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学部で色々な科目をつまみ食いしてリベラル・アーツ(教養)を学ぶというのはアメリカ的な大学教育の発想で、イギリスで特にオックスブリッジの学部は、米国や日本のような単位制ではなく、学部期間を通じて自分の好きな専門科目しか学ばなくていいのが大きな特徴で魅力だ。 ホーキングも学んだオックスフォード大学の物理学科は学部3年(BA)/4年(MPhys)の期間中、本当に物理学だけしか学ばない。ちなみに、ケンブリッジ大学の学部は自然科学全般を学ばされて物理以外の科目も少し入ってしまうので、オックスフォードの物理の方が純潔た。 学部入学は理学部全体ではなく学科毎の選考であり、 オックスフォード大学理学部物理学科の入学な案内  によると、 インタビュー試験に呼ばれた割合:32% 合格率: 13% 入学者: 182人 日本の大学、例えば 京都大学理学部物理学科 などの日本の大学で教わる中身との比較感はわからないが、オックスフォード大学は物理学科だけで 182人もいるので、物理学だけを ホーキングと同じように学びたい人にはお勧めしたい。 30年前に何をやっていかた忘れていたが、以下のような カリキュラム になっている。本当に他の科目はい一切やらずにこれだけを物理学科の学生は学部時代で学ぶのです。 YEAR 1 CURRENT COURSES Classical mechanics and special relativity Electromagnetism, circuit theory and optics Mathematical methods I Differential equations and waves Short options, for example: Astronomy Complex analysis Quantum ideas YEAR 2 CURRENT COURSES Thermal physics Electromagnetism and optics Quantum physics Mathematical methods II Short options, for example: Classical mechanics Climate physics Introduction to biological physics YEAR 3 CURRENT

2023年、7つの問い

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科学に基づく技術革新からのイノベーションという人類の道具の進化に携わっているが、昨年は人類が未だ戦争を止めることすらできず、自らを滅ぼし得る状態にあることを痛感し、人類社会は決して賢くなるような進化をしていないのではないかと強く問わせられる一年だった。 今年から自分自身の関心を以下7つの問いに整理し、最新の学問を学び理解を深めていきたい。 一つ目は物理について。 宇宙の中に存在する物とそれらが従う法則について引き続き。ここで従来の物理学が扱う時空間と物質・エネルギーに加えて、情報も根源的な存在の一つとして同列に位置付けられるべきではないか、また情報の価値と意味とは何か。これらを含めた新しい物理学の枠組みがあるのではないか、について。 第二に生命について。 物質から生じる生命について。生命の誕生、物質と生命の境目について。死とはなにか。 第三に意識について。 生命というシステムが意識を持つということについて。生物の進化のどの時点から意識が生じるのか、意識と無意識の境目、意識とは何かについて。 第四に心理について。 意識が生む人間の心と心理と感情について。人間は何により操られるのか。心の健康をいかに保てるのか。いかに幸せに生きれるのか。 第五に社会について。 人間が構成する社会について、なぜ人間は独裁者に操られるのか、情報と恐怖による支配をテクノロジーが解き得るか、戦争を防ぐ有効な手段はないのか、またジョン・ロックとアダム・スミスに続く民主主義と資本主義の先への人類社会の進化について。 第六に進化について。 人間が生み出すテクノロジーによる人類社会の進化とイノベーションについて。科学では、トーマス・クーンによる科学革命の構造によりその営みと仕組みが理解されたが、テクノロジーとは何か、またその進化の仕組みと行き着く先について。及び人類自身の進化について。 最後に倫理について。 思想信条の異なるものが集まる地球社会として合意できる善悪と正義の共通規範は何か。人間の幸せはいかに実現できるか。人間は詰むべき徳とは何か、個々の人間がいかに死ぬことで、人類社会に何を継承できるのか。

イノベーションを創出する大学モデルへの進化

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中世に学生と教員のギルドとして生まれた大学という組織は、19世紀のドイツで確立された近代国家の研究を担うフンボルト型大学のモデルを経て、20世紀のアメリカでイノベーションを創出する大学という新たなモデルに進化した。 米国の高等教育の歴史をまとめた「 A History of American Higher Education 」を読むと、米国で起きた新しい大学のモデルへの進化の背景が良く理解できる。 アメリカの大学の起源は1636年のハーバード・カレッジの設立にあるが、合衆国独立前に設立された大学郡はコロニアル・カレッジと呼ばれ、それらは当初イギリスのオックスブリッジ型の大学を意識していたが、そこから脱却していく過程が描かれている。 アメリカの大学の最大の特徴は、それらが私立大学であるということにあった。それらの大学のガバナンスは、オックスブリッジのようなファカルティによるものではなく、ボード(Board of Trustees又はVisitors:理事会・評議会)とそれが選んだプレジデント(学長)により大学の経営がされることにあった。プレジデントの報告先はあくまでもボードでありファカルティではなかった。外部のボードがある点はスコットランドの大学のモデルに近い。 産業界で成功した者が寄付者となり、 インダストリーの人間がカレッジのボードに入る体制があったために、なぜカレッジはビジネスのように経営できないのか、という議論が自然に起こっていった。 高等教育のコーポレーション・モデルはスタンフォード大学で確立された。シリコンバレーの父と呼ばれるターマン教授は、同大学で企業等からの外部資金獲得を推し進め、また学生であったヒューレットやパッカードに起業を進めた。その結果がシリコンバレーの形成に繋がり、スタンフォード大学が事業をする大学のモデル(Model of Enterprising University)を確立したのである。 アメリカの大学の財務は授業料と寄付金を中心に賄われていたが、1985年からのイエール大学基金の運用拡大をモデルに基金の運用収益もイノベーション創出モデルを大きく後押しすることになった。 「なぜ大学はビジネスのように運営できないのか」というのが、アメリカの大学での20世紀を通じたテーマであった。アメリカの大学では大小を問わず殆どの大学のボードにビジネス

邪悪について、平気で嘘をつくということが悪の根源であり発現である

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Liveを反対から書くとevilとなる。 一人のナルシシズムから街と生活が破壊され、普通の人々が虐殺され命を奪われている今の現実にどう向き合えばいいか。人間の悪について考えざるを得ない。 『 平気でうそをつく人たち:虚偽と邪悪の心理学 』を読むに 邪悪性とは、ナルシストが自分中心に創作するストーリーの為に平気で嘘をつき、平気で他人を犠牲にすること であろう。 まさにその通りで、よくもそこまで嘘で塗り固めた主張を平気でできるものだと関心するとともに、考えることに怠惰な集団の恐ろしさを感じる。自分のストーリーに整合しないことは事実でもフェイクと呼び、平気で嘘をつくことは邪悪性そのものということだ。 邪悪な人の特徴は、他人に罪を押し付けること、自分の悪を世の中に投影すること。他人をスケープゴートにすることだと言う、まさにその通りだ。 この本では、人間の邪悪性は病気なのか?精神病理学的病気なのか?そしてそれは治療可能なのかを問おうとしている。 邪悪性とは自己愛的精神分裂の一形態で新しいタイプの人格障害で以下の特徴を有すると言う。 自己の責任の放棄 定常的な破壊的責任転嫁的行動、多くの場合きわめて隠微な形をとる 批判その他の形で加えられる自己愛の損傷に対して過剰な拒否反応を示す 立派な体面や自己像に強い関心を抱く、これはライフスタイルの安定に貢献している一方で憎しみの感情・執念深い往復的動機を隠す見せかけにも貢献している 知的な偏屈性、ストレスを受けた時の軽度な統合失調症的思考の混乱を伴う 本書にある精神療法のケースから、オクスフォード大学の学部時代に心理ソサエティでう来た精神科医が特別に患者の治療時のテープを聞かせてくれたことを思い出す。トラウマのある患者を催眠状態で子供の頃に戻らせて話を聞いた所、親にお仕置きとして真っ暗な物置に閉じ込められた時のことを話し出して、その中で親に自分が大好きだった人形を食べるようにいわれたと、泣きじゃくっていた音声を思い返した。 個人の邪悪性が病気なのか、治療できるのか、悪と向き合う危険性等についても考えさせられる。ただ少なくとも法を犯した場合には、それを裁く社会的システムを個人については人類は構築してきた。 個人の悪が集団の悪になるメカニズムと、それを防ぐ有効な社会的システムをまだ人類は形成できていない。 本書では1968年の米軍によるベト

イノベーションの不確定性原理 Uncertainty Principle of Innovation 不確定な世界を生き延びるための進化論

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イノベーションという人類の進化のプロセスに携わるVCとしての思想をまとめた新刊『 イノベーションの不確定性原理 Uncertainty Principle of Innovation 不確定な世界を生き延びるための進化論 』が5月6日に発売されることになりました。 <以下、 Amazon の紹介ページより転載> イノベーションは一人の天才による発明ではない そもそもイノベーションとは何を指しているのか、 いつどこで起き、どのようなプロセスをたどるのか、誕生の仕組みをひもといていく。 移動・輸送の革命や電気・通信インフラの進化、インターネットやスマートフォンの普及と、 人々の生活は数々の変化をし続けてきました。 人類は危機に直面するたび、科学や技術を駆使して生き延びようとしてきたのです。 ビジネスの世界においてイノベーションは未来を切り拓くものであると考えられ、 政府や多くの企業が変革を起こそうと取り組んでいます。 しかし、イノベーションとは何なんなのか、実態はいまだ分かっていません。 一人の天才的な人物の発明によって起きるとも考えられていますが、 実際には単なる発明ではなく、それを社会に浸透させ還元していく 長いプロセスを指すのです。 その仕組みが分かれば、次はどこからどんな新しい科学技術が誕生するのかを 想像することができ、社会に大きな変革を起こすための真の近道になるはずです。 本書では物理学とビジネス双方の知見をもつ2人の著者がこれまで重ねた議論を まとめています。 イノベーションを創出し、不確定な時代を生き延びるためのヒントを与えてくれる一冊です。 【目次】 はじめに 第1章 イノベーションとは何か ――単なるアイデアやひらめきではなく、社会に実装され構造化されてはじめてイノベーションになる イノベーションという進化のプロセスが始まった 単なる発明ではなく社会そのものが変わっていく イノベーションとはどういう歩みなのか ライト兄弟が飛ばなくても誰かが飛んだ 100年以上かけて実用化されたLED照明 人間バージョンの自然淘汰 進化して生き延びるか、絶滅するか 多くの参加者と参加できる環境が必要 第2章 何がイノベーションを可能にするのか ――不確定な世界で必要なのは無数のトライアンドエラーである 生き延びたものが勝者になる 世界は不確実ではない。不確定だ 量子力

東京大学が官僚から起業家の養成に舵を切る

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  2022年度の東大藤井総長の入学式での 式辞 が衝撃的でした。 日本の官僚を養成する大学として設立された東京大学が、起業家の養成に舵をきるというメッセージが出されたのは、これからの日本という国が大きく変革する歴史的ターミング・ポイントだと思います。 東大関連ベンチャーの支援に向けた取組みを積極的に進め、2030年までにその数を700社にするという目標を掲げています。なぜ、私たちはいま、起業にスポットライトを当てているのでしょうか。 まさにいま、大学や研究機関において開発された先進的な技術を実用化して、企業の利益のみならず、社会における大きな問題の解決に結び付ける、ディープテック型と呼ばれるベンチャーの支援が、強く求められています。

子供のように考える:オックスフォード大学で教わる5つの考えるスキル

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Jesus Collegeの政治学のチューターがオックスフォード大学の学部生に教える5つの考えるスキルを解説 しています。特に1つ目はとても大事で、自分自身も唯一学んだことかもしれません。他人の知識や意見をオウムのように繰り返す能力は、自分が他人に便利に操られる道具としての優秀さを示すもので、賢さではありません。人々が知らないことを恥じずに失敗を恐れずに自分の頭で自分の為にゆっくり考える力を持つことが、独裁者や権力による洗脳や支配に対抗する唯一の手段ともなります。このスキルを授けるのが人類文明を支える最も大事な教育なのだと思います。又、博士や専門家と言われる人は自身の権威を守りたいがあまり、自由に疑問をもつことができなくなる印象がありますが、専門家でも専門以外の知らない事の方が多いわけで、常に子供のように疑問を持つ自由を忘れないようにしたいものです。 以下、 Matt Williams博士 の解説となります。 考えるスキルは訓練で身につける事が可能なもので、生まれつきの能力ではありません。なので頭が良くないからと諦める必要は全くなく、これらの能力は練習すれば身みつけることができるのです。 1. Meta Cognition(考えることを考える) まず考えることについて考えることです。 オックスフォード大学の入学試験のインタビューで、星条旗を見せて何が観察できるかを問うテストがあります。 典型的な受験生は試験官が星条旗に関する知識や事実を知っているかを確認しようとしていると想定して答えてしまいますが、オックスフォードの試験官は受験生個人が何を見ているかに関心があります。 多くの場合、人々の考えるスキルは誰かの考えの受け売りでしかなく、自分自身の考えではないことが問題なのです。 多くの受験生は星条旗を見て50の星と13の横縞があると答えますが、これはそのように他人から聞いた為である。インタビュー時間内に自分で数えて観察する事はほぼなく、従いこれは自分のユニークでオリジナルの観察ではなく他人の知識の派生でしかありません。 人生で遭遇する多くの物事を私たちは他人の目を通じて見てしまっています。誰かから星条旗には50の星があると知っていなければいけないと教えられたから。その為、誰かから星条旗について聞かれたら自動的に口にしてしまうように殆ど条件付けられているとも言えます。なの

2022年度入学式

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もう4月1日で入学式なのですね。 柳井さんの祝辞を拝見しましたが、素晴らしいですね。 人とは違う、誰もやらない事をやる 権力におもねるのではなく学問の自由と独立を大事にする 在野精神とは、一言でいえば、自らの出世やお金や権力の為ではなく世の中の人々の為に働くということ。そのような早稲田の精神が自分に大きく影響 ユニクロが目指すのは服の民主主義の実現で、人々の為に働くこと会社をより良くする為に働く事が大事  人が生きていく上で最も大切なのは使命感をもつこと 自分にしかできない自分の人生を思いっきり生きてほしい 失敗は恥ではありません、その経験に学んで改めて挑戦する 早稲田の在野精神を学んで欲しい 確かに、独裁者は160万円の高級ダウンを着ますが、ユニクロは着ませんんね。あまねく人に商品とサービスを届けるのも民主主義であり、それもイノベーションの本質なのだと思います。 後、今年からこちらの本が新入生全員に配られるとのことで読みたいと思います。 自分も新入生と同じ気持ちになりました。 ご入学おめでとうございます。

卒業式の総長メッセージ

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 大学の卒業式というとスティーブ・ジョブズのスピーチが有名ですが、日本でも各大学の卒業式がライブ配信されるようになって、各大学が卒業生に送るメッセージがオンラインで見れて興味深いです。 いくつかの大学の総長/学長式辞を拝見しましたが、その多くがどちらかというと社会全体を中心にした表層的な内容である中で、早稲田大学の田中総長の式辞が最も心に響きました。ウクライナからとロシアからの双方の留学生に対する思いやりができるしなやかな感性と、たくましい知性をもって人の道から外れず進んで世界に貢献して欲しいという早稲田大学の卒業生への言葉は教育者である大学としての最も大事なメッセージだと思いました。 ウクライナで戦争という理不尽なことがなぜ起こるのか、なぜ止められないのかにつき政治学はある程度説明はできるものの、これを止める有効な手段がないことへの無念さも表明されておりました。 イノベーションで人が使う道具としてのテクノロジーが進化しても、最後は人間の内面に関わる問題で人間は最も苦しむという不都合な真実に改めて直面し、政治学を含む人文・社会科学という学問を活用して人類社会の幸福と持続可能性に貢献するような人間自身のイノベーションにも取り組みたいという思いを強く致しました。 オックスフォードで DPhilという学位はまだ出来てから105年とまだ歴史は短い のですが、オックスフォード大学では中世よりMAが大学大学で教えることが許される本来のライセンスでした。これはオックスフォードの学部卒業生が入学から7年経つと取得できるライセンスなのですが、その心は社会に出た後の4年という経験をもってMAというライセンスが形成されるという事でした。その意地でも卒業はスタートなのでしょう。 これから資本主義が1次元から複数次元に拡張され、民主主義と権威主義との対立が先鋭化する歴史的な困難な時代に向き合う中で、他者に洗脳されずに、自ら情報を探し、自分の頭で真実を見抜き、自分として正しいことを判断し、自分の意見を言う勇気を持てるような教育を受けた人がどれだけ活躍するかに世界の平和と人類文明の継続がかかっているかと思います。 全ての卒業生の皆様の今後のご活躍に期待致します。

大学に年3%の事業成長を課す10兆円ファンド

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日本経済新聞2022年2月25日記事「 国内大学、遠い世界レベル 10兆円ファンド運用にリスク 」からのメモ。 ファンドで人工知能(AI)や量子技術など最先端研究を後押し。 支援校は「国際卓越研究大学」として、当初2~3校、段階的に6校程度に拡大。 年3000億円の運用益目標で1大学数百億円規模を支援。24年度から運用益を配分。 米ハーバード大が4.5兆円、英ケンブリッジ大が1兆円規模の基金。米エール大や英オックスフォード大は年9%の収益を稼ぐことも。 卒業生の寄付金が主な原資で大学の自己責任で運用のリスク。 日本のファンドの主な財源は税金 。元金、金利の返済が必要。損失が生じた場合の穴埋め、低金利下で安定的運用益を配分できるにリスク。 政府は23年度にもファンドによる支援先決定。日本経済新聞による学長アンケートでは国公立、私立の40大学が関心。 政府による大学の支援要件:①事業収入の年3%成長②「合議体」の設置③高い研究力。 事業収入は国立大の場合、大学発ベンチャーを通じた知的財産による収入、企業からの共同研究の協力金等。 大学は3%成長が可能になるような事業戦略を示し政府が審査。 支援を開始したあとに事業収入の増加率が単年度で3%を下回ってもすぐに支援を打ち切らないも、 国/JSTが事業戦略もみて長期的な視点で継続するかを判断。 合議体は大学の執行部から独立し中長期の経営戦略などを担う。国立大の場合は「法人総合戦略会議(仮称)」と称し財務計画など経営の重要事項を決定。会議の構成員の人数は10人程度が適当。執行部には経営と研究の担当者を分けて配置。 経営の資質に優れた人材を集める 。22年度以降に国立大学法人法の改正を検討。 ファンドは科学技術振興機構(JST)に設置する。実際の運用は資産運用の会社に委託。法改正し JSTの運用担当の理事に農林中央金庫の出身者が就き専門スタッフを集めた 。 税金による政府の10兆円大学ファンド。支援には大学での事業収入の年3%成長が要件。大学は3%成長が可能になるような事業戦略を示し政府が審査。経営目線を入れて大学に事業成長を課す。それで大学の国際競争力は上がるだろうか。海外の大学は卒業生の寄付が財源、運用にも研究にも政府は当然関与せず。良い研究には学問の独立と自由が必要とも思う。 cf. 早稲田大学のエンダウメント

人間の死にざま

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 「 生き物の死にざま 」に「死」という生命の発明について考えさせられる。 カゲロウが3億年生き残り続けたのは、儚い命の為。生物は次の世代の為に生きる。個体の「死」は種としての存続のための新陳代謝のメカニズムなのだ。 不老不死のクラゲとして知られる ベニクラゲ には、5億年間生き続けているものもいるのでは。 そもそも、単細胞生物には「死」がない。ひたすら自分のコピーを繰り返す単細胞生物には生物学的な定義での「死」はないとされている。 38億年の生物の歴史中、単細胞生物しかいなかった28億年間は生物に「死」はなかった。 「死」は10億年ほど前に多細胞になった生物が自ら作り出した偉大な発明なのである。 「死」のない単細胞生物はコピーミスによる劣化が起こり、また環境変化に適合っできないと種として絶滅するリスクがある。 新しいものを作りだす仕組みが「死」なのである。生命は「死」という再生の仕組みを作り出した。 多細胞生物でも アブラムシは同じ遺伝子を持ったクローンを作る。環境が合わないと絶滅する。 哺乳類で珍しく真社会性生物の ハダカデバネズミ は老化しない。不老長寿。年齢に関わらず病気や外部用要因による死亡率sが一定。おいくることはなくても死は常に隣り合わせ。 テロメア を進化させて、老いて死ぬ事は生物が望んで作った仕組み。 人間の倫理学を説いたカントが動物は人間の為に存在すると言ったらしく、動物は倫理学の対象外だったのかと思う。 1990年のオックスフォード大学のオープン・デーで生物学の講義をしていた リチャード・ドーキンス 先生が、講義の終わりに学生から「人はなぜ生きているのか」と問われて「遺伝子を伝える為」と答え切ったのを覚えている。ドーキンス先生的にはキャリアである人間は死んでも遺伝子は存続するのだが、意識を持った人間は自分が死んでも他人の記憶の中でも生き続けるのだろうと思う。すると、人間の死にざまは、それぞれがどのような物語を残せるのかにかかっているのではないか。 cf.  若返りの方法がここから見つかる!不老不死の生物・べニクラゲがもつ驚異の力 不老不死の鍵を握る哺乳類「ハダカデバネズミ」。老化を見せず生殖も(今のところ)永遠に続ける 知っておきたいテロメアとエイジングの関係

失敗のすすめ

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ベンチャーキャピタルの秘伝の一つは、我々があらゆる失敗の経験を蓄積していることにあります。何かに取り組む際におおよそどのようなトラブルが起こるか予測がつき、それらのリスクをマネージしていくことでダウンサイド・シナリオを避けて行きます。成功には再現性はありませんが、失敗には再現性があります。その観点でも失敗は財産なのです。 致命的でクリティカルな悪い失敗を何とか回避しつつ、良い失敗を積みかさねて活かしていく事が大事です。自分は避けたいですが、他人や他社、他国の致命的な失敗も学ぶことで財産となります。 自分の関与先でも上手くいかない事は当然多々あります。全ての投資先において常に失敗とトラブルの連続です。上手くいくかどうかの違いは、諦めずに続けられたかどうか、失敗から学び失敗を活かしながら変わり続けられたかどうか、致命的でクリティカルな失敗で詰まなかったかどうか、だけかと思います。また、失敗をして危機的な状況下では逃げたり責任を押し付けたり(忍法掌返し、と言われる術)をする人々が出てきますが、誰が逃げず最後まで一緒に戦える真の仲間と同志だったか判別する局面でもあります。そのような戦友がまた自分の財産となるのです。 日本の失敗を恥じて隠す文化が、悪い致命的な失敗を招きます。これが日本のイノベーションの阻害要因となっています。日本の減点主義の教育の問題と、失敗した際に組織の面子と体裁を保つことだけに終始して、最後は辞任するだけで解決として全てを無かったこととして問題に蓋をする近年の日本の風習が原因かと思います。 成功は失敗と一体として生じるもので、失敗なくして成功も生ません。 以前必敗の経験を共有しようと試みた事がありましたが、中々難しく、「 失敗学のすすめ 」の以下が参考になるかと思いました。 ・失敗情報は主観で伝達。客観的な失敗情報は役に立たない ・失敗した人がどんな事を考え、どんな気持ちでいたかを第一人称で伝達する ・失敗の知識化のフォーマット   「・・・で死にそうになった事」など分かり易い タイトル     事象     経過     原因 (発生時にどう感じたか推定原因)     対処 (失敗前から失敗後)     総括     知識化  危険予知訓練と、仮想失敗体験が大事であること 局所最適全体最悪 マニュアルによる対策は形骸化、作業者を思考停止に追い込み、また

人類がつくった人工物の総量が地球上の生物量を上回るという転換点

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 人間がつくった「人工物」の総量は、こうして地球上の生物量を上回った (WIRED2020年12月記事)。 人工物をリサイクルしないと人類は滅びますね。 <記事のまとめ> 2020年かその前後2〜3年の間に、生物と人工物という2種類の物質の総量が逆転する転換点を迎える。 人間が生み出した人工物(人為起源物質)の総量が約1兆1,000億トンに達し、地球上の生物の量を上回った(『Nature』21年12月9日論文)。 生物量(水分を除いた乾燥重量)には、植物、動物、微生物など、生きているあらゆる有機体の重量が含まれる。 20世紀初頭には人工物の量は生物量の3パーセントにすぎず、この100年余りの間に急激に増加、年間300億トンずつ生産されている推算。 生産量が急激に増えただけではない。使用価値がなくなったものは、再利用可能でない限り、ただ廃棄されるようになったのである。言い換えれば、そうした人工物が蓄積されていく一方で、人間は自然界の生物を着々と消滅させ、いまや両者がほぼ同量になってしまったのだ。 このペースが続けば、20年後には人工物量が生物量の3倍近くに達する。 人工物の大部分を占めるのが建築資材。コンクリートを筆頭に、砂利などの骨材を含む建築資材が第2次世界大戦後に急増し、人工物のほとんどを占める(地球全体の数字)。 世界各地で生活水潤上がり、スマートフォンからクルマまで、さまざまなモノをどんどん買うように。使われているものと廃棄されたもの、リサイクルされたものを含め、プラスティックの量だけでも80億トンにのぼる。これは地球上にいる動物の総重量の2倍にあたる。 映画マトリックスでは、人間はある場所にやってくると増殖を繰り返し、ついには「あらゆる天然資源を使い尽くしてしまう」。つまり、ウイルスみたいなもの。 人工物のこうした急激な増加は持続できるものではない。どこまでくれば限界なのか正確にはわかっていない。 人類は弱毒化するのだろうか?

ウィルスの不思議

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地球上のウィルス全体の方が人類全体より重い ウィルスに関心を持たざるをえない。 医学者が対象とする人間が感染し病気となるウィルスは生物全体の保有するウィルスのごく一部。 「 京大おどろきのウイルス学講義 」は 獣医学者による人間以外の保有するウィルスを含めた解説。ウィルスについてまだ殆ど未知な事が良く分かる。また、生物はウィルスと共進化してきた切っても切れない関係。一心同体の関係で未来永劫共存していく相手。というよりも、そもそも生命の誕生に関わっており、また生命の進化も担ってきたウィルスは、極めて不思議な増殖マシーンで興味が尽きない。 ウィルスは遺伝情報を包んだ粒子。神が創った増殖レゴマシーンとしか思えない。 ウィルスは自分自身ではエネルギーを作れず。 ウィルスは自分自身では増殖できず、生物の宿主の生きた細胞に入って増殖する。 細胞は2つにしか分裂できないが、ウィルスは一気に多数に増殖できる。 ウィルスは30nm-400nmの大きさ。 地球上に膨大なウィルスが存在。海水中の深海では1mlに100万個、沿岸の海水では1億個のウィルスが存在。 どんな働きをしているのかまったくわからないウィルスばかり。 物質量カーボン炭素量で見積もると、人類全体より地球上のウィルス全体の方が重いとと推測されている、という衝撃。 生物のDNA中にウィルスの遺伝情報。レトロウィルスは生物の進化に大きな役割。生物とウィルスは共進化。 ちなみに、この共進化が物質から生命への進化を可能にしたカギのようだ。 東京大学の研究成果「 物質から生命への進化を可能にしたカギは寄生体との共進化か 」 これまでウイルスなどの寄生体と宿主生物との共進化は、生物進化における重要な駆動力のひとつだと考えられてきましたが、本研究成果は、その起源が生命誕生前までさかのぼる可能性を示しています。寄生体との共進化が、物質から生命への進化を可能にしたカギだったのではないかと発表者らは考えています

大隈重信没後100年

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早稲田大学の創設者、大隈重信は1922年1月10日に早稲田で亡くなりました。明日の2022年1月10日は 大隈重信没後100年 との事でお墓参りをさせて頂きました。 100年を経った今でも多くの方がお参りにこられる大きなお墓は、オックスフォードのホールの肖像画のにょうに「 何かを学び,成さんとする人に対し,示唆を与え 」られるような場所でした。 大隈重信は近代日本の立ち上げに尽力され、早稲田大学という想いのこもった大学を設立されたご功績に対して想いを寄せ、自分も同じように世に貢献したいと願って手を合わせました。 2022年1月4日の投稿「大隈重信」 中の引用を改めて思い起こしまた。   「経済発展も大隈は「イギリスの商業は自由貿易を主義として「大陸」を相手として世界のいたるところで「競争」してきたので発達してきた、とイギリスを理想のモデルとしてとらえる」。また「列強に対抗するためにも、さらなる教育の充実を主張した。読み書きや、国民の「心性を開拓」して知識を啓発する普通教育だけでなく、「専門学の講究」(高等専門教育と研究) も重要だと言う。それは、政治経済法律や商業などと、技術教育、さらに「発明」である。日本の学者は「発明」を欧米に委ねて、その成果を模倣するという姿勢でいるが、もっと発奮すべきであると批判する。」   「大隈は、三井・住友・藤田・安田・古河といった「第一流の実業家」も含めた実業家たちが、「百姓や労働者や小さな実業家」などに向かっては尊大で 威張っているが、「役人」〔閣僚や官僚〕 に対しては「勢力が無い」、「頭が上がらぬ」というように、いまだに「専制時代」の臆病風に吹かれていると述べて、実業家の気概ある行動を求めた。」 「大隈や早大関係者は、オックスフォード大学のようなスタイルを取り入れ、官学である帝国大学と競い合おうとしたのである。」

益田孝さんのお墓を表敬訪問

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三井物産の創設者の 益田孝 さんを表敬しお墓参りをさせて頂きました。  1876年に三井物産が設立された時はベンチャー企業だった。 「1876年、創立時の旧三井物産社は職員16名、指揮を執るのは27歳の青年社長・益田孝だ。今でいうベンチャー企業である。」 旧三井物産初代社長 益田孝氏 「眼前の利に迷い、永遠の利を忘れるごときことなく、遠大な希望を抱かれること望む」 「 新会社はその定款で、「貿易」を本務とした。益田は「三井物産会社を創立したのは、大いに貿易をやろうというのが眼目であった。金が欲しいのではない、仕事がしたいと思ったのだ」と振り返っている。また志として「眼前の利に迷い、永遠の利を忘れるごときことなく、遠大な希望を抱かれること望む」と述べている。」( あゆみ 旧三井物産の創立と初代社長・益田孝 27歳の青年社長と16人の精鋭 より) 1876年、創立時の旧三井物産社屋 新たに三井物産のようなベンチャー企業を今の日本から生み出すという遠大な希望を抱いて手を合わせた。

「最初のベンチャーキャピタリスト」に学ぶ、VCの使命と原点

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  「The First Venture Capitalist: Georges Doriot on Leadership, Capital, & Business Organization」 1946年に最初のVC投資会社 アメリカン・リサーチ&デベロップメント   (ARD)社を設立した「最初のベンチャーキャピタリスト」 ジョージ・ドリオ (Georges Doriot  1899 – 1987) 氏についての本。ドリオ氏はハーバード・ビジネス・スクールの教授でINSEADの設立にも関わった。大分前にARCHのオフィスに行った際に沢山置いてあったのを1冊頂いた思い出のある本。 ARDは米国で最初に創業期の技術系ベンチャーに組織的に投資する事業を始めたVCの原点。当初はMIT発のベンチャーへの投資が中心で、その中から創業期から投資をしたDEC社が大成功した。 ARD社は自身が上場していたVC投資会社で、今のファンド形式のVCが確立される前であったこともあり、キャピタリストへのインセンティブ設計がまだなくリテンションには苦労したようだが、ドリオ氏とARD社のメンバーは大学に埋もれた研究から新しい経済を創り出すベンチャーキャピタルという仕事を強い使命感を持って始めた事が分かる。これがVCの原点。 ベンチャーキャピタルという使命 ドリオ氏にとって、ベンチャーキャピタルは宣教師のような使命感に基づいた活動であった。そして、その使命に賛同する仲間を彼は広く探していた。 "For Doriot, venture capital was a missionary activity. And he searched far and wide for those who believed in the mission." ドリオ氏のベンチャー・キャピタルに対するアプローチは、あまりにも宣教師的な使命感にに突き動かされたものであったという指摘がある。 "There are those who argue that Doriot was much too missionary in his approach to venture capital." 大学の研究から新しい経済を創出 大学や研究機関に眠る膨大な知識と研究から、新しい経済を創造

大隈重信

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今年は 大隈重信 没後100年。薩長出身ではない非主流の立場で明治維新の日本の財政と外交に携わり、2回首相を務めた政治家。民間活力による産業振興を行う小さな政府論者であって、東西文明の調和の理想を持っていた。1881年43歳の時の政変で在野となり、44歳の1882年に東京専門学校を設立、その後政府に復活し、外務大臣だった1889年51歳の時に爆弾テロで右脚を失い、76歳から78歳まで二度目の総理を努め、1922年1月10日に83歳で亡くなった。「自分の人生には功績よりも失敗の方が多い」と述べる大隈は、鋭い直感力を持っており、やるなら命がけで本気でやれ、というのが幕末以来の信念だったと。 特にイギリス風の政党政治の導入を目標としていたことが印象深く、早稲田大学は、つまり日本のオックスフォード大学となるべく設立された、と理解しました。 明治維新の時に掲げられた日本という国の理想には全く道半ばで、逆に政治的、倫理的、科学力的、教養的にも日本社会は衰退しているのではないかとさえ思ってしまいます。100年前と言えばまだついこの間でもあり、改めて世界で輝く日本への理想を持って取り組みたいと思う。 イギリス風の政党政治を目標に 「イギリス風の政党政治を作り「 輿論」を政治に反映させ、東アジアに安定した秩序を作り、清国や列強と貿易を拡大して日本を通商国家として発展させることができるのは、伊藤ではなく自分である、と。」いう強い自負心が大隈にはあった。 ここで「大隈は、国民のよく考えぬかれた理性的な意見である「輿論」と、むしろ気分や感情に影響された意見である「 世論」を区別している。」 「大隈は輿論にもとづいた政治を理想とし、中産階級以上の自立した個人がリードしているイギリス風の政党政治をめざした。しかし、世論の力も知っており、世論に流されないように、さらに世論をできる限り味方に付けようと試みながら、理想の政治をめざした。」 経済発展も大隈は「イギリスの商業は自由貿易を主義として「大陸」を相手として世界のいたるところで「競争」してきたので発達してきた、とイギリスを理想のモデルとしてとらえる」。また「列強に対抗するためにも、さらなる教育の充実を主張した。読み書きや、国民の「心性を開拓」して知識を啓発する普通教育だけでなく、「専門学の講究」(高等専門教育と研究) も重要だと言う。それは、政

VC25年目に、改めてベンチャーキャピタルについて

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明日からの2022年でVC歴25年になります。初心に戻り、尊敬するVCの言葉をまとめました。 (1)VCは事業を創出する事業 セコイア・キャピタルの創始者の ドン・バレンタイン 氏は、VCの仕事は「事業を創出する事業で、時には新しい産業をも創出する。VCは金融取引ビジネスではなかった。VCは新しい会社を作っていく。たまには新い産業も作っていく。」と言っています。新い会社を構築し、新い事業を創出し、新しい産業をも構築していくのがVCの使命です。 “ we were in the business of creating businesse s, and sometimes creating industries; we were not in the financial transactions business. We were going to build companies. We were going to build an industry once in a while” - Don Valentine, Sequoia.  Capital Gupta, U. (2000), Done Deals : Venture Capitalists Tell Their Stories, edited by Gupta, U., book, Harvard Business School Press, Boston. バレンタイン氏は2019年に亡くなられました。今はアカウントがなくなっていますがセコイアの投資先でもあったLinkedInで繋がっていたのは多分日本人で唯一だったかと思います。 (2)チームの構築と成長を支援 クライナー・パーキンスの ジョン・ドーア 氏は「 偉大な起業家とCEOは良いチームを構築できる。良いVCは良いチームの構築と成長を支援しなければいけない。」と言っています。会社も事業も人が集まって成す事なので、詰まるところ如何に良いチームを創れるかにかかっています。良いコーチとして、如何に人の心を動し人とチームを育てて行けるかがVCのアートです。 "Great entrepreneurs and great CEOs are team builders. And good venture capitalists must help b